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zoom RSS 鯨の集団自殺

<<   作成日時 : 2005/08/11 13:26   >>

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 鯨の集団自殺は謎めいている。
 かなり高い知能をもっているはずの鯨の群れが、
とつぜん狂ったように岸をめがけて泳ぎだし、
浅瀬に乗り上げ、座礁してしまうのだ。
 いくら追い返しても逆らうばかりで、
そのまま空気に溺れて死んでしまう。
 (中略)
 もしかすると溺死の恐怖におびえた鯨が海から逃れようとしているのかもしれない、
と言う説さえあらわれた。
 海の生物が溺死を恐れるというのは逆説的で、考え方としては面白い。
 鯨は魚ではなく、もともと肺で呼吸する地上の動物だったのだから、
ことと次第によっては先祖返りして水による窒息死に
恐怖心を抱きはじめないとも限らないわけだ。
 寄生虫か何かに脳をおかされ、浮上する力が失われたとき、
可能性としての溺死におびえるあまり、現実の死を見失うこともあるだろう。


安部公房の『死に急ぐ鯨たち』より。

最近、集団ではないが、鯨の座礁事件が多いように思う。
その度にマスコミがとりあげるのであるが、
本書を読んだ身としては、本当の理由が突き詰められないところに
じれったく思えてくる。

DNAの構造が解明されて行くにつれて、
生物同士の違いが意外と小さな塩基配列の違いに因るものであることが
わかってきている。
だとすれば、
同じ生物の不可解な行動の連続は、
我々人類にも遅かれ早かれ、ふりかかってくる可能性があるわけだ。

そういうことに敏感になっていくことが、
やがてあるかもしれない危機に備える一歩であるのかもしれないのだ。

最後に安部公房は、こう結んでいる。
 人間だって鯨のような死に方をしないという保証はどこにもない。



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